【ベトナムの冠婚葬祭】これで突然のお呼ばれも安心!~結婚式参加編~

日本には事細かに決められたさまざまなシーンでの「マナー」「作法」というものがあります。 特に冠婚葬祭では、お渡しするお金の額や服装、参列中の細かな作法など、数えるとキリがないほどです。 ベトナムにも日本と同じように冠婚葬祭が行われますが、そのマナーや式の進行は似ているものから、驚くほど違うものまでさまざま!

以前ベトナムの結婚式を挙げる側についての記事を投稿しましたので、本日はベトナムの結婚式お呼ばれ編です。

「今度職場のベトナム人社員の結婚式に行くけど何か気を付けることはあるだろうか」

「ベトナムに住んでいるけど初めての知り合いの結婚式、どんなことに気を付けたらいいの?」

と思っている方にぜひ読んでいただきたい内容です。現地出身スタッフ監修の本記事で、ベトナムの結婚式の流れやマナーについて学んでいきましょう!

ベトナムの結婚式の基本情報

ベトナムの結婚式はどんな人を呼ぶ?

親族や友人、職場のお世話になった人に招待状を送ります。これは日本と同じですね。しかしベトナムの結婚式は、直接招待されていない人でも、関係のある友人や自分のパートナーと一緒に行くのはOK。

めでたいお祭りなので、少しでも多くの人が参加するのは良いことであるという考え方のようです。

ベトナムの結婚式は?どこで行われる?

地方や田舎で行う結婚式と披露宴は、1日のみではなく、2~3日にわたって行われる事が多いです。親戚や友人、近所の人が招かれる結婚披露宴は、新郎新婦の自宅(実家)が会場になることが多く、家の駐車場や自宅前の簡易的な机とプラスチックの椅子を並べて催されます。

壇上やテーブルや椅子、当日の食事を提供する業者が各地方や地域にあり、おおよそ当日の2〜3日前から装飾などを事前に準備し、結婚式を迎えます。招待人数はだいたい100人〜200人くらいですが、多い場合は500人くらいのときもあります。そこでみんなで連日ドンチャン騒ぎをします。

都会の場合、結婚式から結婚披露宴まで1日で完結するケースが多いと聞きます。開催場所は、ホテルや結婚式場などが一般的で、日本の披露宴に近い雰囲気です。ベトナムの若い世代はコチラの結婚式が主流になってきているみたいです。

ベトナムの結婚式は何時ごろに始まるの?

地方や田舎で行う結婚式と披露宴は、時間帯としては、昼間から開催されることが多いです。 なにやら楽しそうな雰囲気の結婚式を見て、近所の人が次々集まってくることも珍しくありません。

都会の場合は、午前中に家族や親戚のみで結婚式を上げ、午後から会社の同僚や友人を招いた結婚披露宴が始まります。

ベトナムの結婚式の流れ

招待状をもらう

結婚式は、基本招待制です。結婚披露宴が開催される2〜3週間前に結婚披露宴の招待状を受け取ります。当日はこの招待状を持参しましょう。

招待状は電子ではなく郵送で送られるケースがほとんどで、開催日時や時間が書かれています。

開始時刻の数十分前に会場入りする

基本的には開催時間の30分〜ジャストの時間くらいに会場へ到着できればOKです。気合を入れて「開場時刻」に会場入りしても、会場には誰もいないことが往々にしてあります。 新郎新婦はもちろん、お手伝いの受付すらもいないこともしばしば。

ただし、時間ギリギリだと良い席が空いていないこともあるので、撮影しやすい場所を確保したい場合や、会場で他の知り合いと一緒に座りたい場合などは、早めに会場に行くことをオススメしますよ。

受付でお祝い金を納め、記帳する

ベトナムでも、日本と同じように新郎新婦へのお祝いとしてご祝儀を渡す風習があります。 ご祝儀袋は元々用意しておく方が望ましいそうですが、多くの場合が入口に用意されている封筒とペンを使い、その場でお金を入れご祝儀箱に入れています。

ご祝儀袋には、自分の名前と

「Chúc mừng hạnh phúc hai bạn! チュク ムン ハン フック ハイ バン!(おめでとうございます、お二人ともどうぞお幸せに)」

「Chúc 2 bạn hạnh phúc đến đầu bạc răng long.(お二人とも白髪になり、歯が抜けてもお幸せに。)⇒意味:末永くお幸せに。」

などのお祝いメッセージを添えると良いでしょう。 ご祝儀袋はのり付けはせず半分に折ってご祝儀箱に入れるので、事前準備はあまり必要ありません。自分のサインも受付で記帳しましょう。

記念撮影をする

ベトナム人は記念写真を撮るのが大好きです。 日本と違い、式が始まる前に新郎新婦が見えている場合もあるので、その時は先に記念撮影を済ませることも可能だとか。

もしこのタイミングで新郎新婦に会えなくても、式の最中に写真を撮ることもできますよ。

結婚式の記念写真

着席する

会場内に入り、着席しましょう。6〜10人がけくらいのテーブルが、間隔を空けて並んでありますが、ベトナムでは日本の結婚式のように、具体的に席が決まっていないことがほとんどです。

都会の結婚式で会場がホテルの場合は、席ごとの指定まではなくても、テーブルが指定されている場合もあります。

一方、田舎の場合は、特に席が決まっていないことが多いため、他の知り合いが一緒にいる席や、ステージが見やすい場所、もしくは音響に近すぎない場所など自由に選んで着席しましょう。前方の方には家族席の場合もあるのでそのあたりは避けて座りましょう。

着席後、式が始まる前でもテーブルにある簡単な軽食をいただいたり、ビールを飲み始めたりでき、これは失礼には当たりません。時間の感覚がゆったりなベトナム文化ですから、招待状に書かれた開催時間よりも15〜30分ほど時間を遅らせてから、全員が集まってきた頃に、式全体を始める場合が多いのです。トイレ等は事前に済ませておきましょう。

穏やかに式の進行を眺める

ステージに司会の方が登場し、ベトナムポップの音楽が流れてきて照明が変わると、いよいよ新郎新婦が登場します。ホテル会場なら日本の新郎新婦が登場するのと同じ雰囲気の華やかな演出があったり、田舎なら会場外から色とりどりのフラワートンネルをくぐったりします。今日は二人の幸せを願う大切な1日です。姿が見えたら盛大な拍手でお祝いしましょう。

新郎新婦が入場後、ケーキ入刀やシャンパンタワー、壇上ではご両家が登場する場面もあります。あとは式の進行を穏やかに眺めるだけなので、乾杯のタイミングがあれば一緒に盛り上がりましょう。

食事の時間

挨拶が終わると、料理がどんどん運ばれてきます。ベトナムのお祝いの日にしか食べないような珍しい食事も堪能できるかもしれません。とにかく楽しみましょう。

食事が始まってから30分〜1時間くらいすると、新郎新婦が各テーブルを回って挨拶に来てくれます。すべてのテーブルで乾杯してくれますが、ほとんど新郎がビールを飲まされていたりします。専属のカメラマンがついてきてくれていることがほとんどです。写真を一緒に撮ってもらいましょう。

カラオケ大会

食事やビールを楽しんだあとは、壇上で演奏家が曲を演奏したり、場合によっては催しものが始まったりします。ここに関しては日本の披露宴と同じですね。

唯一違う点をあげるとすれば、特に田舎の場合、なんのためらいもなく参加者が壇上に上がり、カラオケを熱唱し始めるところでしょうか。もはや披露宴というよりは、近所のカラオケ大会状態ですが、それも含めて楽しいベトナムの結婚式なのです。

まばらに人が帰っていき式が終了

日本ではよく「宴もたけなわでございますが…」と司会者が切り出し、お開きの合図が示されます。しかしベトナムの結婚式のはそのようなサインはありません。

ホテルで行われる結婚式は、開始からおおよそ2~3時間後ぐらいに、バラバラっと自然解散的に終わっていきます。 食事やドリンクを存分に楽しんだら、あとは好きなように解散するのがベトナムの主流。特に早く退席しても白い目で見られたり、気まずい思いをしたり…ということは全くありません。自分のタイミングで帰宅をしましょう。もし可能そうであれば、最後に新郎新婦にも挨拶をして帰れるといいですね。

ちなみに田舎の場合は、2日~3日間かけて「結婚式(新婦歓迎式)」と「披露宴(パーティー)」を行うのが通常であり、その間ずっといなければいけないということはないので、都会の結婚式以上に出入りが自由です。

ベトナムの結婚式のマナー

ご祝儀を包む文化

ご祝儀の相場は、関係性の度合いにもよりますが、大体は以下の通りです。

【ベトナムのご祝儀の相場】

親しい友人・恋人の親戚 = 500,000vnd〜1,000,000vnd(約2,840円~5,680円)

会社の同僚・普通の友人= 500,000vnd(約2,840円)程度

友人の友人など、知り合い程度 = 200,000vnd〜500,000vnd(約1,136~2,840円)

日本人とベトナム人の夫婦の結婚披露宴に招待された場合は、相手との関係性次第ですが、1,000,000vnd〜2,000,000vnd(5,000円〜10,000円)ほどのご祝儀を渡す場合もあります。 日本は3万円、親しい場合は5万円を包むことが一般的ですので、日本の相場の1/3くらいと考えておくといいでしょう。もし迷った場合は、一緒に参加する友人や周りの日本人に事前に確認することをおすすめします。

参加するときの服装

服装は、田舎の場合と都会の場合とで若干異なりますが、男性であれば、スーツやジャケット、下はワイシャツなどを着ていけばおおよそ問題ありません。私服より少しフォーマルに、しかしネクタイをする必要はなく、スーツ上下やキレイめなビジネスカジュアルな服装でOKです。

田舎の場合は、シャツだけでもOKだったり、ベトナム人の男性の中にはジーパン&サンダルの人もいるくらいですが、田舎なら、Yシャツ+ビジネスパンツ(+ジャケット)くらいで考えておけば大丈夫です。

女性の場合アオザイを着て結婚式に参加する人もいますが、パーティー用のドレスでもいいですし、シンプルなワンピースでも問題ありません。キレイな人は花嫁並みに着飾ってくる人もいるため様々で、白色がダメなどの規制もありません。

カラオケリクエスト

テーブルに「カラオケソングリクエスト」の紙が用意されている場合もあり、歌いたい曲などの申請を出し、壇上に上がって歌を披露します。

日本の結婚式の定番ソングのように、ベトナムの結婚式でよく歌われる歌などもあるようなので、セレクトされた大体の曲は、DJが曲のリクエストに合わせてその場で即興で演奏してくれます。ただし、悲しい曲や別れの曲などはNGです。

まとめ

ベトナムの結婚式について、今回は参加者側のマナーや披露宴に焦点を当ててまとめましたが、いかがでしたか?

似ている部分もあれば、考えられないような異なる部分も多くあったでしょう。周囲の方もたくさん集まってきてしまうようなどんちゃん騒ぎの結婚式や、誰が主役か分からなくなってしまうようなカラオケ大会も、日本ではありえないからこそ楽しそうですよね。

日本では現在も本当にたくさんのベトナムの方が暮らし、働いています。 これを読んだあなたは、職場のベトナム人社員さんが結婚をすることになり、お呼ばれした時にも混乱しないでしょう。

事前に知識を深めて、余裕をもって素敵な1日を楽しめるといいですね。