ボビナムってなに?
突然ですが「ボビナム」とは、何かわかりますか?
ベトナムのマイナーな家庭料理?それとも動物の名前?歴史上の偉人でしょうか?
…違うんです。ボビナムとはベトナムで生まれ、いまや世界60カ国に広がっている総合武術のこと。
越武道(えつぶどう)とも呼ばれるその競技は、名の通りベトナム(越)独自の武道です。アジア各国はもちろん、 ヨーロッパ、中東、オーストラリア、アフリカ、アメリカと 全世界にその競技人口は広がりをみせています。
ボビナムの歴史
ボビナムの歴史は古く、1938年に創始者グェン・ロックにより広められ、当時フランスやアメリカなど諸外国に抑圧され続けたベトナムの長い歴史の中で、ベトナム民族を 「武術によって心身ともに励まし鍛えあげること」を目的として始まった競技だそうです。
その歴史故に、ボビナムは西洋と東洋が混合された独自のスタンスををとった技が多いのが特徴です。東洋の中国拳法、古武術などと西洋のレスリングやキックボクシングなどを当時のベトナム人が研究、分析して練り上げられた、個性的なスポーツと言えるでしょう。
ボビナムの技にはどんなのがある?
訓練のときには、手、肘、脚、膝を使った肉体的なものにとどまらず、剣、ナイフ、扇子、爪、薙刀などの武器を使う技も存在し、大きな人や自分よりも力がある人でも倒すことができるような技が集約されていることから、近年では護身術として日本でもひそかに人気を集めているそうです。ドンチャンと呼ばれる美しい足技の数々も、ボビナムの特色の1つでしょう。
ボビナムの技はドン(突き)、ダッ(蹴り)、チェム(手刀)などの当て身から、体全体を駆使した投げ、関節技、さらには受け身の技術と多種多様です。
試合形式も、複雑で動きが美しい型、剣やナイフなどの武器を操る型、複数の選手による演武などで完成度、芸術点を競うものもあれば、グローブと防具をつけたポイント制打撃戦などの一般的な格闘技の競い方もありとにかくバリエーションが豊富です。
また、ラーにはじまりラーで終わる(礼に始まり礼に終わる)など、日本で古くから親しまれている武道と通ずるところがあるんですよ。
ボビナム10の心得
ボビナムでは身体のみならず心を鍛錬するために以下の10の心得を掲げています。
日々武術を精進し、何人をも守ること
ボビナム発展のため、次世代を教育すること
年長者を敬い、仲間に心遣いを忘れないこと
規則を守り、武道家としての誇りを持つこと
他種格闘技を敬愛し、護身のためのみ闘うこと
健全なる肉体と精神を養うこと
何事にも、誠意と勇気をもつこと
逆境に挑むこと
正しく判断し、忍耐強く準備を怠らないこと
自信と向上心で、成長の道を探ること
自分や大切な人を守れることだけでなく、心身ともに鍛え上げることで人間として成長することを説くボビナムの教えこそ、今の私たちに必要なことなのかもしれませんね。